「Business Planet ビジプラ」サイトは開設以来、多くの皆様にご利用いただきましたが、2016年2月29日をもちまして閉鎖させていただきました。

これまでの「Business Planet ビジプラ」サイトへのご愛顧に対しまして、深く感謝するとともに心より御礼申し上げます。

今後、ビジネス文例集などのお役立ち情報は『総務のポータルサイトe総務.com』 http://www.e-somu.com/ をご利用ください。









































































































嘱託採用

定年退職後の嘱託採用時に、今までの成果と今後の意欲など確認したいのですが、質問事項で参考となるものがあれば教えて下さい。

質問者:松本 隆弘

定年退職後の再雇用は、現在は一般的な取扱で、雇用契約締結の一形態とも考えられますが、新規の雇用やアルバイトや契約社員から社員への転換(あるいはその逆)とは、異なる面が多くあります。
例えば、新規雇用も社員転換も、労使の一方が申し出て、もう一方が合意することで成り立ちますが、定年退職後の再雇用は従業員が希望した場合は、原則として会社は応じる義務があります。
原則としてというのは、例外的に、従業員代表との労使協定を締結することで定年退職後再雇用の基準を設けることが可能で、基準に満たない従業員からの再雇用希望を拒否することが出来る為です。労使協定を締結しなければ希望者全員を再雇用することになります。
(※再雇用や定年引上げにより高齢者の雇用確保が必要となるのは、平成25年3月31日までは「64歳」まで、同年4月1日以降は「65歳」までです。)

ご質問いただいた「今までの成果」や「今後の意欲」などは、再雇用の希望確認や基準に関わってくることですので、その点を踏まえてご説明いたします。


まず「今後の意欲」についてですが、そもそも「再雇用を希望するのか否か」という点を確認する必要があります。
希望しない者を再雇用する必要はありませんので、当然です。
確認内容は、希望するか否かというだけですが、確認時期には、配慮が望まれます。
定年退職は、個人の人生設計上、重要な転換点です。定年退職日の直前になって確認し即座の返答を求めることは避けるべきと考えられます。
十分な時間的余裕をもって質問し、回答までの猶予も与えるべきかと思います。
もっとも、その結果の返答が定年退職日直前になるようでは、会社の準備に支障が出ますので、少なくとも数ヶ月前には返答を得られるようにするとよいでしょう。

次に確認したいのが「希望の職種・業務・勤務条件及びそれぞれの理由」です。
再雇用希望者に対して、再雇用に応じることが原則的な法的義務であることは述べましたが、職種や業務の決定等といった人材活用の方法まで、従業員の希望通りにする必要はありません。しかし、それでも確認しておくことをお奨めします。

「会社の意向」「本人の希望」「現状の能力」がすべて適合すれば理想的ですが、実際はなかなかそう上手くはいきません。
だからと言って、一方的に会社の意向を押し付けては、長年勤め上げ仕事に自信を自負を持っている従業員のモチベーションを著しく低下させる恐れがあります。
本人の希望やその理由を聞き取り、勘案した上で職種等の決定することが望ましく、仮に希望通りでなかったとしてもその理由についてよく説明し、良好な労使関係を維持することが重要です。

ここで挙げた「勤務条件」とは勤務時間や賃金、勤務場所を指します。
基本的には、上記の職種・業務の決定と同じ考え方ではありますが、「勤務時間」と「賃金」は、それらに加えて社会保険等の加入資格、老齢年金の額、雇用保険からの給付金額にも大きく影響してきます。
つまりは、個人の収入と会社の労務費に直接関わってくる事項です。
個人の年金額と年金加入機関によっては、社会保険の資格を喪失した方が年収が大きくなる場合もあります。
その為、この点については、単に従業員の希望と会社の意向のすり合わせを行なうのではなく、両者にとって最適な条件を検討すべきと思われます。

年金事務所によっては、月額報酬と年金額の簡易な試算を行なってくれる場合もありますが、年金制度だけではなく、雇用保険の制度も含めて検討することが望ましいので、そういった総合的なシミュレーションを得意とする社会保険労務士やコンサルティング会社に相談することも有効かと思います。


続いて「今までの成果」について、例示されただけかとも思いますが、実は再雇用時の確認事項としてはあまり重要ではありません。
もちろん、上述の希望職種・業務の根拠として、これまでに培ったノウハウ・考案したアイデア・取得した資格等を自己PRさせることは有意義ではあります。
しかし、再雇用するか否かの判断材料として自己申告の内容を用いることは、出来ません。

従業員代表と労使協定を締結することによって、再雇用する基準を設けることが出来ると説明しましたが、この基準には一定の制限があります。
その制限とは、簡単に述べれば「具体的で客観的であること」です。
例えば、次の様な基準は適切ではないとされています。括弧内はその理由です。
 ①会社が必要と認めた者に限る(基準がないことと等しいと考えられるため)
 ②上司の推薦がある者に限る(基準がないことと等しいと考えられるため)
 ③男性(または女性)に限る(男女差別になるため)
 ④労働組合に参加していなかった者(不当労働行為になるため)
仮に、労使協定で「自己PRの内容によって判断する」といった基準を設けたとしても、判断するのは会社側の主観ですので①の例と同じく、基準としては不適切で、無効であると主張されれば反論の余地がありません。
(※定年退職の年齢を65歳以上とされていて、その後の再雇用であれば①②の様な条件でも差し支えありません。ただし、③④は引き続き設けることは出来ません。)

適切とされる基準の例としては、次の様になります。
 ①勤続○年以上  ②過去○年の勤務評定がCランク以上
 ③営業職経験○年以上  ④技術職に○年以上従事した者
 ④危険物取扱免許を保持する者  ⑤主任以上の者
 ⑥過去○年間に懲戒処分を受けていない者
要は、社内記録や資格証明書などの客観的な資料に基づいて、基準を満たしているか否かを、誰が見ても確実に判断できる基準です。
むしろこういった内容を自己申告させたとしても証明できるものが無ければ意味がないということです。

再雇用時の意思や希望職種の確認をする際には、労使協定により締結された再雇用基準とそれを満たしているかどうかを示す社内資料などの準備も必須となってくるとお考えください。

以上

回答者:ドクターポケット

弁護士法人法律事務所オーセンス

 

新着トピックス

反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク
【第70回】 「常識」がズレることの怖さ
反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク
【第69回】 贈収賄リスクへの対応(コンプライアンス・プログラムのあり方)

セミナー開催レポート

週刊クローズアップ

今週の一冊

新着専門家コラム

反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク
【第70回】 「常識」がズレることの怖さ
反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク
【第69回】 贈収賄リスクへの対応(コンプライアンス・プログラムのあり方)

一覧を見る

「流行なび」女子大生モデル連載エッセイ