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専門家コラム・Q	& A

反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク

【第70回】 「常識」がズレることの怖さ

5) 仮想通貨を巡る議論

金融庁で、ビットコインをはじめとする「仮想通貨」の規制のあり方等に関する議論がスタートしています。

▼ 金融庁 金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」(第4回)

討議資料(3)(「仮想通貨」に関する論点①)

▼ 金融庁 金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」(第5回)討議資料(4)(「仮想通貨」に関する論点②)

「仮想通貨」は、その移転が迅速かつ容易(さらには安価)であるうえ、利用者の匿名性が高いことから、マネー・ローンダリングやテロ資金供与等に悪用されるリスクが以前から指摘されていますが、今年6月には、FATF(金融活動作業部会)も、「仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認や疑わしい取引の届出、記録保存の義務等のマネロン・テロ資金供与規制を課すべき」とのガイダンスを公表しています。

現在のところ、諸外国でも規制のあり方は異なっており、ロシアなどは仮想通貨の使用を禁止、米国はAML/CTF規制の導入を検討中、ドイツやフランスなどはAML/CTF規制と利用者保護のための規制を既に導入している状況(さらに言えば、フランスはパリ同時多発テロを受けて、購入時の規制強化を決定しました)とされています。

本ワーキング・グループにおいては、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、上記のFATFのガイダンスを踏まえ、犯罪収益移転防止法上のマネロン・テロ資金供与規制を課すことについて、「具体的には、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所を犯罪収益移転防止法の特定事業者に追加し、同法に規定される以下の義務等を課すことが考えられる」との金融庁の考えが示されています。

・本人確認義務(口座開設時等)

・ 本人確認記録及び取引記録の作成・保存

・ 疑わしい取引の当局への届出

・ 体制整備(社内規則の整備、研修の実施、統括管理者の選任等)

ビットコインが犯罪に悪用された事案は既に米国などで見られ、実際に、ISが当局の追求をかわすためにビットコインで資金を貯め込んでいるとの情報もあります。したがって、今後、日本においても組織犯罪等に悪用されることが予想され、預金口座からの暴排が進む中、匿名性の高い仮想通貨が暴力団等の預金口座の代替手段として利用される可能性も考えられることなどから、AML/CTFの規制の枠組みだけでなく、実務的にも近い反社リスク排除の観点から事業者を規制する形もあわせて検討いただきたいものです(現実的には、個々の事業者や日本デジタルマネー協会など業界の主体的な取組みに委ねられる可能性が考えられますが、いずれにせよ反社リスク管理を強力に推進していくべきだと思います)。

6) 忘れられる権利

本コラムにおいてもその動向を注視している「忘れられる権利」ですが、ここにきて日本でも注目すべき判断(仮処分の決定)が相次いで報道されています。

・ 10年以上前に振り込め詐欺で有罪が確定した男性が、グーグルで事件を報じる記事が表示されるのはプライバシー侵害だとして、米グーグルに検索結果の削除を求めた仮処分申請で、東京地裁が削除を命じる仮処分決定をしています。

・ 2003年に逮捕され、罰金20万円の略式命令を受けて即日納付した男性が、「求職活動を中断するなどの被害があり、プライバシーを侵害された」としてグーグルに削除を求めた仮処分申請をしていた事案で、札幌地裁は、「逮捕から12年が経過した現時点では、犯罪経歴を公表する社会的意義は相当低下している」と指摘して、削除を命じる仮処分決定を出しています。

・ ヤフーで自分の名前を検索すると、犯罪に関わっているかのような結果が表示され人格権が侵害されているとして削除を求めた仮処分申請事案において、東京地裁は、男性は現在、犯罪と無関係な一市民として生活しているとし、「過去についての記載は現在の地位を著しくゆがめている。公共性が高いともいえない」と指摘して、削除を命じる仮処分決定を出しています。

報道によれば、グーグルは「知る権利の観点から正式な裁判で争いたい」、ヤフーは「結果の削除は、表現の自由や知る権利を守る観点から慎重さが必要だ。正式な裁判で争うことも視野に対応を検討する」とのことですが、以前も指摘したように、「時間の経過」による「公益性」の減少といった考え方がひとつの基準になりつつあるところ、実務面から見れば極めて曖昧なこの概念が、「一定期間を過ぎれば知る権利より人格権の保護が優先する」という結論ありきの状況に既になりつつあり(前述の例では、振り込め詐欺事案でさえ「逮捕から12年が経過した現時点では、犯罪経歴を公表する社会的意義は相当低下している」との裁判官の指摘が正にこれに当たります)、さらに、それがどの時点なのかの見極めだけが争点になっているようにさえ思われ、やや違和感を覚えます。

本コラムとの関係で言えば、反社情報は、「真に更生した者」への配慮は必要であるものの、その本質や実態からみれば、「時間の経過」に関係なく「公益性」の高い情報であることは間違いないと思われます。上記3つの事例からは、(事案の性質に関する情報は十分に分かってはいませんが)「10年」といった「時間の経過」基準が見え隠れしているようにも見えます。この「忘れられる権利」の実務的な解釈については、反社情報の取り扱いとあわせ、まだまだ目が離せない状況にあると言えるでしょう。

7) 犯罪インフラを巡る動向

① レンタルサーバー

今年は、例年にも増してサイバー攻撃の脅威が猛威をふるいました。その攻撃者の特定を巡る攻防も激しさを増していますが、中でも、インターネット利用には不可欠な存在である「サーバー」は、サイバー攻撃においても、複数のサーバーを経由して痕跡をたどりにくくする手口や、悪意のあるプログラムを相手側に感染させた上でサーバーを経由して遠隔操作を行うといった手口など、正に「犯罪インフラ化」している状況にあります。

とりわけ、「レンタルサーバー」の契約手続きはオンラインで行われ、本人確認手続きがないまま申請が通るといった状況があり、偽名・借名・なりすまし等により利用者の特定が困難になっています(特に海外のレンタルサーバー)。これらは前回も指摘した「レンタル携帯電話」が犯罪インフラ化している構図と全く同じであり、深刻な犯罪を助長している以上、レンタルサーバーやレンタル携帯電話のサービス提供にあたっては、厳格な本人確認手続きの導入や事業者側の健全性の確保等に向けた規制の強化が急がれます。

② 名簿

振り込め詐欺未遂容疑で逮捕された指定暴力団稲川会系組幹部らが使用していた東京都内のマンションから、携帯電話16台やノートパソコン3台などが押収され、パソコンには11県計約9万500人分の住所、氏名、電話番号などが記されたエクセルの表が保存されていたと報じられています。

詐欺等の犯罪グループが正体を隠して犯罪を実行するための「三種の神器」と呼ばれるものが、「他人名義の銀行口座」「他人名義の携帯電話」「名簿」です。昨年の大規模個人情報漏えい事案が発生した際にも、悪質な名簿業者の存在がクローズアップされ、これを契機として、不正な個人情報の流通の抑止の観点を含む個人情報保護法の改正が行われたことは皆さまもご存知のとおりです。

不正な手段で入手された名簿については、特殊詐欺グループなどで、実際の対応結果等の情報が追加され、精度を高めながら共有・転売されている実態があります。また、メールアドレスだけの漏えいであっても、「標的型攻撃メール」「迷惑メール」などと組み合わせることによって、より深刻な攻撃への足がかりとなったり、不正請求等につながるため、犯罪者にとってはそれだけでも十分な価値を有していると認識し、防御の意識を高める必要があります。

③ ネーム・ローンダリング

融資を受ける資格がない多重債務者4人を僧侶として改名、偽の源泉徴収票を銀行に提出するなどして信用させ、住宅ローンの融資金をだまし取るなどした元僧侶が関与した詐欺事件で、京都地裁は「得度制度を悪用した組織的かつ計画的な犯行」と指摘し、懲役4年10月(求刑・懲役5年6月)を言い渡しています。

得度制度を悪用したネーム・ローンダリングの存在を世に知らしめた事件でしたが、ネーム・ローンダリングの手口としては、偽装養子縁組、偽装結婚、偽装離婚、通称名の変更などが代表的で、生活困窮者や障害者など社会的弱者を隠れ蓑に行われることも多く、過去、以下のような事例もありました。

・  知的障害者の男性が27人もの人と偽装養子縁組をさせられた事案

事情をよく認識できない知的障害者が利用されたものです。養子縁組を交わせば養子側の姓が変わり、新たな名義で銀行口座開設や携帯電話契約などが可能になり、振り込め詐欺グループや暴力団が悪用していることは知られており、実際、当該男性の口座も詐欺などの犯罪に利用された形跡があったということです。

・  建設業の男性が、知らない間に、面識がない7人と養子・養親の縁組を繰り返したように戸籍が変更されていた事案

この事例の特異な点は、騙されたり利用されたといった事実が本人の自覚としてなく、「全く知らないところで繰り返し行われていた」というところにあります。言い換えれば、例えば親族であったとしても、それが可能となってしまう行政の手続き自体の甘さが「犯罪インフラ化」しているということでもあります。

事業者がネーム・ローンダリングに対抗するには、本人確認手続きとしてデータベース(DB)だけではほとんど無力ですが、対応する職員らの「職業的懐疑心」や実態のモニタリングなど日常業務と組み合わせながら、「入口」だけでは限界があることをふまえ、「継続的な顧客管理」の中で端緒を掴んでいくといった対応が求められます。

8) 工藤会の動向

福岡県警を中心とした工藤会壊滅作戦によって幹部が大量に逮捕された指定暴力団工藤会ですが、主に工藤会対策のために改正された福岡県暴排条例の、平成24年8月に導入された「暴力団員の立入禁止標章」制度に絡み、当時、標章を掲げた飲食店などが襲われる事件が相次ぎ、せっかく掲げた標章をまた引っ込めるといった飲食店が続出しました。

しかしながら、ここへきてようやく、工藤会が標章の掲示への報復のために放火などを組織的に繰り返したとして、工藤会理事長ら数人が現住建造物等放火などの疑いで逮捕されるに至りました。

福岡県警のこれら一連の取組みによって、北九州市民の間に安心感が広がっているようですが、この11月末から12月にかけて、同県警は、北九州市小倉北区の繁華街(同標章制度の対象地域)にある飲食店など約400店を対象に「みかじめ料」に関する一斉の聞き込み捜査を行っています。同県警による一斉聞き込みは今年4回目で、「組幹部逮捕後は安心感から情報提供を得やすい」との関係者の話が報道されていました。つい最近まで「怖くて情報提供できない」「情報がないため手詰まり感があった」という「負のスパイラル」に陥っていたところから、暴排実現に向けた「正のスパイラル」に転じたことを実感させるうれしいエピソードです。

また、工藤会は、山口県公安委員会から「特定危険指定暴力団」に指定されていますが、その指定は集会・結社の自由を保障する憲法に反するとして、山口県に指定の取り消しを求めた訴訟を起こしています。それに対して、山口地裁は、「凶器を使い重大な危害を加える恐れがあることは明らか。手続きも適法になされている」として請求を棄却しました(福岡県を相手にした同様の訴訟でも、福岡地裁が7月に請求を棄却しています)。

さらに、福岡県公安委員会は、改正暴力団対策法に基づき、集会などを禁じる使用制限命令を出していた工藤会の3事務所への命令を、以前と同様に指揮命令や連絡の場に使われる恐れがあるとして、来年2月中旬まで3カ月間延長すると発表しています。

幹部の大量逮捕によって組織としての指揮命令系統が混乱し、各種規制の強化で実質的に十分な活動が出来ない状況に追い込まれた工藤会ですが、その壊滅作戦の今後の行く末を見守りたいと思います。

株式会社エス・ピー・ネットワーク

総合研究室 主任研究員 芳賀  恒人 氏

警視庁・道府県警の出身者をはじめ、企業危機管理に伴う法務・労務・財務・広報等の専門家で構成されるクライシス・リスクマネジメント専門企業。

反社会的勢力の見極めから排除実務、企業不祥事等に伴う緊急対策支援に至る「直面する危機(クライシス)」対策等に数多くの実績を有し、実践から導かれた理論に基づき「潜在する危機(リスク)」の発現を未然防止するためのコンサルティングと人的支援を展開する。従来の枠に留まらない危機管理的視点からの実践的なコンプライアンス体制や内部統制システムの構築を多くの企業で手がける。会社法の改正等の経済界の流れを先取りした先駆的企業危機管理論には、上場企業や株式公開を目指す企業だけでなく、金融機関や監査法人からの支持も厚い。

筆者は、企業のリスク抽出・リスク分析ならびにビジネスコンプライアンスを中心とする内部統制システム構築を専門分野とするリスクアナリストとして、これまでに、企業の反社会的勢力排除の内部統制システム構築・運用支援コンサルティングや排除計画の策定・対応支援等の業務を多数手がけるほか、「SPNレポート~企業における反社会的勢力排除への取組み編」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議下の「暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム」での報告をはじめとして、企業の反社会的勢力排除に向けた取組みに関する講演等を数多く行っている。

弁護士法人法律事務所オーセンス

 

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