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専門家コラム・Q	& A

反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク

【第69回】 贈収賄リスクへの対応(コンプライアンス・プログラムのあり方)

■ 最近の事例から

1) 競売からの暴排

裁判所で行う不動産の競売から暴力団等反社会的勢力を排除できるよう、政府が民事執行法の改正作業に乗りだすとの報道がありました。法務省が有識者研究会を立ち上げ、来年の法制審議会(法相の諮問機関)での諮問を目指すということです。

競売制度というある意味合法的な手段を通じて、「安値で競落し高値で転売する」という手法により多額の利益を得る、通常の取引では新たな用地取得が難しいことから、競売を通じて新たに暴力団事務所を設置するようになっているといった問題が既に表面化しており、この法の抜け道を防ぐことが喫緊の課題とされていました(例えば、以下の預金保険機構のWebサイトに掲載されているような提言が各種団体から繰り返しなされてきました)。

▼ 預金保険機構 競売からの反社会的勢力排除の試み

「不動産取引からの暴排(反社会的勢力排除)」については、暴排条例でも明記されるなど、他の分野と比較しても取組みが進んでいる中、裁判所による競売が抜け穴とされてきた経緯があります。前述した平成26年警察白書の「犯罪組織は、常に法の規制が及ばない分野や、規制が緩い分野を求めて活動範囲を拡大している」との指摘の通り、反社会的勢力を利する分野や抜け道が顕在化しているのであれば、それを放置すること(不作為)があってはならず、法改正の速やかな実現を期待したいと思います。

2) 六代目山口組の分裂

前回の本コラムでは、本事案が世間の耳目を集めている今こそ、反社会的勢力の活動を助長したり、活動に資するような経済取引を行うことがないよう、彼らとの「接点」や彼らからの「アプローチ」に対する警戒への対応として、全ての役職員が、暴排意識やリスクセンスを自らの持ち場で発揮できるよう徹底すること(それによって対応の質を磨くこと)が重要であると指摘しました。

その後の状況について言えば、局所的な小競り合い等は起こっているものの、大規模な抗争につながるような大きな動きは見られません。しかしながら、水面下ではいまだに情報戦(相手を陥れるための警察への情報提供など)や引き抜き合戦、資金源を巡る駆け引き等が行われていると思われます(例えば、山口組総本部の土地の所有者である「株式会社山輝」の株主は山口組の「直参」全員ですが、報道によれば、神戸山口組に移った13人(直近の報道では17人まで増えたとも言われています)の幹部も未だに名を連ねており、株主という法的立場から「総本部の土地の一部の権利を主張できる」という理屈で乗っ取りを画策しているとの情報まであります)。

また、警察も、情勢を正確に把握する必要性や神戸山口組の指定暴力団化を急ぐ必要性などから、組員の摘発とそれに伴う組事務所への家宅捜索を活発に行っています。

今後、福岡県警が全国で初めて取組んだ脱税による摘発手法など、警察と司法が緊密に連携しながら、あらゆる手法・手段を駆使して暴力団取り締まりを強化していくものと期待されますが、その摘発等の端緒として、「民間からの情報提供」は極めて有効であり、警察もそれを期待しています。

その意味では、今年6月、福岡県警が、特定危険指定暴力団工藤会壊滅作戦において、飲食店など1,600店に対して、一斉に「みかじめ料」に関する実態調査を行いましたが、調査にあたり、福岡県警は、事業者が正直に申告すれば(本来は適用できる)暴排条例を適用しないとの姿勢で臨んだとされており、このようなリニエンシーに考え方は参考とすべきだと言えます(なお、この取組みの結果、組員に対する暴排条例に基づく勧告事例や、今後は支払わないとする事業者や相談に訪れる事業者も出るなどの成果がありました)。

参考までに、東京都暴排条例においては、利益供与違反(第24条第3項)に当たる行為をした事業者や、名義貸し違反(第25条第2項)に当たる行為をした人であっても、その違反した事実について、東京都公安委員会に申告した場合には、東京都暴排条例に規定された「勧告」の措置を免除されるという、「勧告の適用除外(自主申告)の制度」が設けられています。

▼ 警視庁 東京都暴力団排除条例Q&A

いずれにせよ、暴力団の弱体化、とりわけ最大の組織である山口組の壊滅に向けて官民挙げての取組みが求められているこの時期だからこそ、万が一でも自社にグレーな部分があると認識しているのであれば、(正にそれが情報提供となり得るという意味でも)警察に相談しやすい状況であることをふまえ、「今こそ暴力団排除」に真剣に取組むべきだと言えるでしょう。さらに、ここにきて、企業不祥事が連鎖的に多数発覚(多発ではない点に注意)していますが、不祥事はもはや隠ぺいできる社会ではない(必ず発覚する)と認識すべきです。そして、不祥事からの再生、再発防止の第一歩は、正に「膿(うみ)を出し切ること」です。これまでの悪習・悪癖と決別することは、痛みは伴いますが、まずは現実にしっかり向き合うことが重要です。

そして、一方で、暴力団組織が今後弱体化することが確実であることを社会に知らしめた今回の事案を機に、離脱して更生する道を選ぶ暴力団員が増えることをあわせて期待したいと思います。それとともに、国や事業者が離脱者支援にどのように取組んでいくべきかをあらためて真剣に検討すべき時期にきていることをあらためて指摘しておきたいと思います。

 

株式会社エス・ピー・ネットワーク

総合研究室 主任研究員 芳賀  恒人 氏

警視庁・道府県警の出身者をはじめ、企業危機管理に伴う法務・労務・財務・広報等の専門家で構成されるクライシス・リスクマネジメント専門企業。

反社会的勢力の見極めから排除実務、企業不祥事等に伴う緊急対策支援に至る「直面する危機(クライシス)」対策等に数多くの実績を有し、実践から導かれた理論に基づき「潜在する危機(リスク)」の発現を未然防止するためのコンサルティングと人的支援を展開する。従来の枠に留まらない危機管理的視点からの実践的なコンプライアンス体制や内部統制システムの構築を多くの企業で手がける。会社法の改正等の経済界の流れを先取りした先駆的企業危機管理論には、上場企業や株式公開を目指す企業だけでなく、金融機関や監査法人からの支持も厚い。

筆者は、企業のリスク抽出・リスク分析ならびにビジネスコンプライアンスを中心とする内部統制システム構築を専門分野とするリスクアナリストとして、これまでに、企業の反社会的勢力排除の内部統制システム構築・運用支援コンサルティングや排除計画の策定・対応支援等の業務を多数手がけるほか、「SPNレポート~企業における反社会的勢力排除への取組み編」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議下の「暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム」での報告をはじめとして、企業の反社会的勢力排除に向けた取組みに関する講演等を数多く行っている。

弁護士法人法律事務所オーセンス

 

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