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専門家コラム・Q	& A

反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?|株式会社エス・ピー・ネットワーク

【第69回】 贈収賄リスクへの対応(コンプライアンス・プログラムのあり方)

有事における対応のあり方

さて、これまでご説明してきた内容から、贈収賄行為(贈賄行為)防止のためのコンプライアンス・プログラムの具体的な内容はおよそご理解いただけたものと思いますが、指針では、その基本的な項目について、以下の通り整理しています。

●基本方針の策定・公表

●社内規程の策定(社交行為や代理店の起用など高リスク行為に関する承認ルールや、懲戒処分に関するルール等)

●組織体制の整備

●社内における教育活動の実施

●監査

●経営者等による見直し

その中で、ここでは、FCPAの摘発事例において「有事における対応」の成否が制裁のレベル感に大きく影響を与えている現実がありますので、以下、この点に絞って考えたいと思います。

まず、指針では、有事においては、「法令遵守を徹底するとともに自社(ひいては自社株主)への経済的損害を含めた悪影響を最低限に抑制するための行動を迅速に取る必要がある」と指摘していますが、既にみた事例からも明らかなように、「迅速な調査の実施」「当局への情報提供」「従業員教育をはじめとする再発防止策の速やかな実施」「関与者に対する厳格な処分」などがポイントとなります。

また、指針では、「対応能力に不足がある子会社における有事については、親会社へ生じる影響の大きさを踏まえた適切な対応を確保するため、親会社が積極的に関与することが有力な選択肢となる」と指摘しています。また、「子会社役員等に子会社との間の利益相反が生じ、子会社において適切な調査及び親会社への報告等が行われない可能性がある」といった点も指摘されています。

ただし、子会社における事案対応時の問題点については、何も贈収賄リスクに限った話ではなく、目の届きにくい海外子会社などで内部不正や法令違反等の不祥事が発生しやすい傾向があり、不正調査では、関与が疑われる子会社役員等は解任リスクに直面することから、「保身」や「隠ぺい」「改ざん」「報告懈怠」等が生じやすいことなども十分にふまえながら、慎重に証拠固めをしていく必要があります。

さらに、指針では、有事対応体制の整備における留意点として、最新のコーポレート・ガバナンスのあり方をふまえて、以下を指摘しています(下線は筆者)。

●担当取締役・担当者の決定、監査役との連携のあり方、調査チームの設置、親子会社間の有事に関する情報の報告体制その他有事における対応体制に関する事前のルール化。特に、有事に関する情報がコンプライアンス責任者や経営者に迅速に伝わるような体制を事前に構築しておくこと。

●特に、外国公務員から贈賄要求があった場合には、当該要求内容の重大性等に応じて、現場における一次的な対応方法、本社等における危機対応チームの設置といった手順が事前に整理されていること。

独立社外取締役にも、有事に関する必要な情報が適切に報告されること。経営陣から独立した立場で、会社と経営陣との間の利益相反が適切に監督されること。

●自社及び企業集団に不利な事情を含め関係証拠を保全し、ヒアリング等実施した上で、贈賄行為の可能性が高いと判断される場合は、捜査機関への通報や自首を検討すること。

●事態収束後は、原因究明を行い、企業集団としての再発防止策を検討すること。  

いずれも体制整備面でのポイントとなりますが、特に、「現場における一次的な対応方法、本社等における危機対応チームの設置といった手順が事前に整理されていること」について言えば、実際に贈収賄のリスクに晒される(腐敗した外国公務員の圧力を直接受ける)のは、現地の社員であり、相手方との対応を現地だけに押し付けない、「組織的対応」が求められる点を指摘しておきたいと思います。また、教育研修等を通じて贈収賄行為が厳格に処分される点を徹底的に叩きこまれるほど、現地で実際に要求等が生じた場合、それを隠ぺいしたり、抱え込んでしまうことによって、逆にリスクを増大しかねないケースもあり、問題ある行為を「正当化」する都合の良い思考回路が働く(バイアスがかかる)ことも十分認識する必要があります(例えば、「コンサルタント料の支払いだから問題ないはずだ」「これを断れば商談は破談で本社に迷惑がかかる」など)。

したがって、初動対応においては、「現地に判断の余地を与えない形での対応と情報共有の仕組み作り」が有効かもしれません。つまり、現地は初動における回答・対応としては「本社に確認する」と一本化し、本社に端的に「要求があった」ことをいち早く報告し、本社及び外部専門家の連携による適切な指示を受けて「組織的に対応」することが重要ではないかと思われます。

また、実際の社内調査の実施においては、電子メールや電子ファイルの保全が事実関係の把握や証拠として極めて重要となります。関係者(関与した可能性のある社員だけでなく、その上司や部下なども含む)の業務用パソコンや携帯電話、会社のサーバー等をいち早く押さえ、デジタル・フォレンジック等の専門家の協力を得ながら、保全・解析して事実関係を把握することが重要です。

その他、「隠ぺい」「改ざん」等については、重大な事案であればあるほど秘密としておくのは困難であると認識して、すみやかに当局に届け出ることの方がメリットが大きいと認識すべきです。FCPAには、摘発手法として「内部告発奨励金制度」が設けられており、報奨金を目的とした周辺者からの内部告発の可能性が高まるうえ、「大きなヤマ」であればあるほど当局の摘発に力が入るのも当然です。さらには、FCPAなどでは、自主申告しないことが制裁金の増額要素となっていることも、あわせて認識しておく必要があります。

以上、贈収賄リスクへの対応についていくつかポイントを確認してきましたが、既にお気づきの通り、反社会的勢力排除やアンチ・マネー・ローンダリング(AML)におけるリスク管理体制の整備ポイントや組織的対応の重要性、内部不正等の企業不祥事対応における事実確認や情報開示のあり方など、「効果的なコンプライアンス・プログラム」には共通するところも多く、企業が取り組むべき課題が多い中、このような共通項に着目して、まずは大きく堅固なフレームワークを整理し、多様なリスクに効率よく対応できるような工夫も必要だと思われます。

株式会社エス・ピー・ネットワーク

総合研究室 主任研究員 芳賀  恒人 氏

警視庁・道府県警の出身者をはじめ、企業危機管理に伴う法務・労務・財務・広報等の専門家で構成されるクライシス・リスクマネジメント専門企業。

反社会的勢力の見極めから排除実務、企業不祥事等に伴う緊急対策支援に至る「直面する危機(クライシス)」対策等に数多くの実績を有し、実践から導かれた理論に基づき「潜在する危機(リスク)」の発現を未然防止するためのコンサルティングと人的支援を展開する。従来の枠に留まらない危機管理的視点からの実践的なコンプライアンス体制や内部統制システムの構築を多くの企業で手がける。会社法の改正等の経済界の流れを先取りした先駆的企業危機管理論には、上場企業や株式公開を目指す企業だけでなく、金融機関や監査法人からの支持も厚い。

筆者は、企業のリスク抽出・リスク分析ならびにビジネスコンプライアンスを中心とする内部統制システム構築を専門分野とするリスクアナリストとして、これまでに、企業の反社会的勢力排除の内部統制システム構築・運用支援コンサルティングや排除計画の策定・対応支援等の業務を多数手がけるほか、「SPNレポート~企業における反社会的勢力排除への取組み編」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議下の「暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム」での報告をはじめとして、企業の反社会的勢力排除に向けた取組みに関する講演等を数多く行っている。

弁護士法人法律事務所オーセンス

 

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